人の感性によってビビっとくるもの違うよね in トルコ至宝展[京都国立近代美術館]

先日、京都国際近代美術館で開催されている「トルコ至宝展」に行ってきました。
偶然チラシを見た時に、妙に好奇心をくすぐられたんですよ。

トルコ至宝展 チラシ
引用:京都国立近代美術館より http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2019/432.html
2019年6月14日(金) ~ 7月28日(日)まで

美術館に行くのなんて数年ぶりですが、チャレンジしてみましょう!

京都国立近代美術館 入口
入口の人数はまばらですが、中には沢山いました。

なかなかの混雑です。
年齢層は中高年がメインで、7割くらいは女性です。
20代っぽい男子の一人参加は、僕しかいなさそうですね。

展示会場内は撮影禁止なのですが、その前に大きなパネルが置いてありました。

展示会場前のパネル
漫画家さんとのコラボ企画があったみたいです。

左のおじさんは、オスマン帝国の最盛期の王様「立法者スルタン・スレイマン1世」という人。

法律を整備し、戦争に勝ち、チューリップを育て、ハレム(日本の大奥のような所)には彼のための女性が1000人もいて、
なのに奴隷だった一人の女性をとても愛し、異例の結婚までしたという。

なんかもう、すごいね。

さて、では中に入ってみましょう。
入場料1500円を支払って展示会場まで進むと、音声案内のレンタルが並んでいました。
受付の人が声を上げる中、皆さん素通りしていくので、僕は借りてみようと思います。

先に言っちゃうのですが、これは借りていって正解でした!
パネルによる説明が少なかったので、展示物だけ見ていると「綺麗だな~」で終わってしまったかも。
音声で解説を聞きながら進むと、展示物の背景や派生した情報なども教えてくれるので、とても勉強になりました。
レンタル料550円以上の価値がありましたね。

オスマントルコの至宝と言えば、煌びやかな宝石や、金の糸で紡がれた織物などが有名です。
しかし、他の人が書かれたレビュー記事の方が説明が上手いので、今回は僕が気になった「妙な」ものを紹介します。

まずは、戦争の時に兵士が被った兜。
オスマントルコ兵の兜には、なんと額の辺りに大きなスプーンがくっついてます。

プロテクターの役割とともに、戦から帰ってきて宮廷で食事を取る時、「キュポっ」と外して食べたそうな。
なんだか、食いしん坊がいっぱい並んでいたと想像すると、可笑しいですね。

そして兜には、様々な文字が書かれてあります。
オスマントルコでは書道が価値ある文化とされ、様々な文言が刻印されています。
アラビア文字なので読めませんが、異国情緒はすごく伝わってきました。

次に、その戦士たちが持っていた盾です。
ゲーマーにも伝わるように言うなら、少し大きめのラウンドシールドのような形です。
その盾には、なぜかチューリップが大きく描かれています。

無骨な武具なのに、可愛いお花模様。
これまた、少しミスマッチな気がしますね。

チューリップの柄は、トルコでも人気の柄らしく、その理由はトルコ語の「アナグラム」にあります。

トルコ語でチューリップを「ラーレ」といい、アラビア文字で書いた後、文字を入れ替えると、イスラム教の神様、「アッラー」になります。
加えて、「ラーレ」の文字を後ろから読むと、三日月を意味する「ヒラール」となり、オスマントルコの国旗のマークになります。

つまりチューリップを書くと、宗教や国家のシンボルを全て描けるという象徴として優れたマークになり、トルコではよく用いられるようになったらしいです。

僕はその解説を聞いて「おぉー」となったのですが…、
先ほどのスプーン兜をした兵士たちが、チューリップ柄の盾を持って行進するのを想像すると、どうもコミカルに感じてしまいました。

耳からは解説と共に、オスマントルコ兵が行進した際の行進曲が流れてきます。
当時の人は、この音楽が聞こえてくると、例の装備をした屈強な兵達がやってくるんだと、恐怖に慄いたそうです。
色んな行進曲の原型となった曲らしく、すごくアラビア感を感じます。

ちなみに、家に帰ってテレビをつけると、偶然にもその音楽が流れてきました。
今でも人気なんて、影響力がありますね。

キンチョーの虫よけ製品や大和ハウスのCMソングに使われています。

最後は、「七宝製バラ水入れ」と呼ばれる、小さな香水瓶です。
バラが満開に咲き、緑葉が花々を囲む様子が描かれています。
絵付けの繊細さ、色彩の豊かさがとても見事で、思わず息を止めて見つめます。

しかし、あまりに魅入りすぎまして…
顔を近づけすぎて、展示ガラスに思いっきり頭部をぶつけました。
鈍い音が展示場に響き、周りの人がギョッと僕を見ます。
慌てて、いそいそと退散しました。

綺麗な香水瓶
小さな瓶で、はがきサイズでほぼ実寸大です。

トルコではお客さんの手に、ローズウォーターを振りかけて歓迎する文化があるらしいです。
その起源は「預言者ムハンマドの肌からはバラの香りがしていたから」なんだそう。
なるほど、今話題のデオコおじさんの起源は、ムハンマドだったのか。

約1時間ほどで、ぐるりと周り終わりました。
今まで学んだことのなかった文化に触れられたので、大変満足です。
こういった機会がないと、新たな世界の扉を開けることが無いので、たまには美術館も良いですね!