僕が借景に惚れた、始まりのお庭が「無鄰菴」です。
東山を借景にした池泉回遊型のお庭で、「こんなお庭が欲しい!」と思える場所です。
無鄰菴が他の庭園と違う点は、その閉鎖性と思います。
ここ、「庭園の内と外で、時間の流れが違う」のです。
無鄰菴に行く人は蹴上駅から、もしくは岡崎公園周辺の観光ついでに行くと思います。
蹴上駅から歩くと、道路が広くて車の交通量が多いのが分かります。
逆に、平安神宮や京都市動物園から歩くと、観光客の多さを感じます。
京都の有名な場所は、観光地らしい「忙しなさ」を感じます。
さて、通りをぼちぼち歩くと、無鄰菴の正面が見えてきました。
門をくぐり、窓口で入場料の410円を支払います。
小さなチラシを頂くと、隣にある小さな入口を教えてもらえます。
頭をグッと下げて入口を抜けると、青々とした木々が見えてきました。
母屋へと続く飛び石を渡るたび、外界と少しずつ離れていきます。
辿り着く頃には、すぐ向こうに自動車が走っているなんて、思いもつかないでしょう。
ここで僕のおすすめですが、母屋に着いたらまず「座って」ください!
そして景色を、時間の流れを、胸いっぱいに吸い込んでみてください。
この縁側からの景色が最高なんです!
芝生がのびのびと広がって、小川のせせらぎが気持ちを穏やかにしてくれます。
座って景色をぼんやりと眺めると、忙しい日常をすっかり忘れられます。
のんびりしたら、すこし歩いてみましょう。
小さな橋を渡って進むと、苔が豊かに生い茂る姿が見られます。
柔らかそうな緑のじゅうたんを見ていると、なんだか心も和んできます。
小川の上流まで歩いていくと、池が広がっていました。
実はここ、母屋からは見えない場所なのです。
少し歩いただけなのに、山の中を散策している気持ちになります。
ぼんやりと水の流れを見ていると、サギが一羽すっと立っていました。
しばらく眺めていましたが、サギは一歩も動かず、水面を見つめています。
じっと見つめる僕と、じっと立ち続けるサギ。
しまいに僕の方が疲れてしまって、立ち去ってしまいました。
無鄰菴の母屋はカフェになっていて、お茶を頂きながら休憩させてもらえます。
せっかくなので、行ってみましょう!
靴を脱いで母屋に上がると、先ほどのお庭が一望できます。
この景色を見ながらお茶を頂けるなんて、とても贅沢ですね。
折しも今日は七夕で、限定セットなるものがありました。
お抹茶と生菓子が頂けるとのことなので、こちらを頂戴します。
通常メニューには、コーヒーや紅茶、最中アイスなどもありました。
お茶を頂きながら、ぼーっとお庭を眺めます。
母屋にお客さんがたくさん来たので、反対の中庭を眺めます。
こちらも、陽光がスポットライトのように竹を照らして、静かな雰囲気を楽しめます。
その後、もっとお客さんが増えて来たので(それでも10人くらい)、人気を避けて母屋の奥へと逃げていきます。
すると母屋の一室に本棚があり、庭園に関する本が何冊か置いてありました。
ここからお庭は見えないでのすが、座り心地の良さそうな椅子と、本に囲まれた静けさがあります。
気になった1冊を手に取ると、これがまた面白いのです。
近畿の庭園が複数紹介されていて、その見方や美しさのポイントが記載されていました。
思わずコーヒーを頼んで、腰を据えてじっくりと読みふけってしまいます。
気が付くと夕方になっていました。
カフェの営業時間も16時半で終わりますので、そろそろお暇します。
今回みたいに昼間は人が少し多いのですが、朝早くや夕方遅くは比較的空いてますよ。
せっかくなので、お土産を買って帰りましょう。
無鄰菴を出てすぐの所に、「長瀬」さんという漬物屋さんがあります。
旬の野菜を使ったお漬物が並んでいますので、覗いてみましょう。
この日は「すぐき」というカブの仲間の漬物がありました。
京都では一般的な野菜で、漬物にすると独特な酸味があります。
すぐき本体の価格は少しお高めだったので、葉っぱの漬物を頂きます。
1パック250円くらいで購入しました。
葉っぱを洗って、一口幅に切り、しょうゆと七味唐辛子をかけてご飯に合わせると最高です。
お茶漬けにしても美味しいですね。
他にも、タケノコのお漬物や水ナスの浅漬けなど様々ありましたので、近くに行ったときは立ち寄ってみてください。